横浜市西区歯科医師会のホームページをご覧くださりありがとうございます。
2017年から会長を務めております、妹尾 明寛（せのお・あきひろ）と申します。
私たち歯科医師会の大きな役割は、生涯を通して区民の皆さまのお口の健康を見守り、健康長寿のお手伝いをすることです。

健康づくりの第一歩は、お口の機能を維持すること

はじめに、今の日本人の健康事情を少しだけお話させてください。
2019年に厚生労働省が公表したデータによると、日本人の平均寿命は男性が79.55歳、女性は86.3歳となっています。これに対して健康に不安があり、日常生活が制限されるようになる年齢は、男性が70.42歳、女性は73.62歳だとされています。
つまり男性は晩年の9.13年、女性では12.68年もの間「要介護状態」になると考えられるのです。この時間をできるだけ短くし、いかに健康な状態を長く維持するか……それが元気で長生きするための課題だと言えるでしょう。

健康づくりの第一歩は、お口の機能を維持することから始まります。よく噛んでおいしく食事を召し上がること、口臭などを気にせずにご家族やご友人とたくさんコミュニケーションを取ることがとても大切です。
歯がなくなって噛めない状態が続くと栄養不良からフレイルとなり、要介護状態へと一直線に進んでしまいます。噛みにくい・飲み込みにくい・むせやすい・滑舌が悪いなどの症状のある方は、オーラルフレイル（お口の機能低下）の可能性があるかもしれません。
しかし、たとえ症状があってもかかりつけ歯科医にて適切な処置を行うことにより、これらの機能の回復が期待できますのでご安心ください。

血管に関係する病気と「歯周病」の関係

日本人の死因の上位を占める病気に心疾患や脳血管疾患がありますが、どちらにも共通するのが血管に関係する病気だということです。
そしてこれらの病気の原因になると考えられているのが「歯周病」です。歯周病は初期では症状が現れにくいものの、お口の中の歯周病菌が血管の中に侵入すると、さまざまな病気を引き起こすリスクが格段に高まります。
ゆっくり静かに進行して病気を発症させることから、欧米ではサイレントキラー（静かな殺し屋）とも呼ばれています。
歯周病のある高齢の方では誤嚥性肺炎を起こすリスクが高まること、認知症の原因となる「アミロイドベータ」との関係性も分かってきました。
さらに新型コロナウイルス感染症では、サイレントストーム（免疫暴走）を起こして重症化する原因ともいわれました。
また歯周病は糖尿病を悪化させることも分かっており、まさに「万病のもと」と言える病気なのです。

歯周病は50歳以上の日本人の8割がかかっていると考えられ、まさにギネス記録級の病気だと言えます。
あなたもすでに歯周病にかかっているかもしれませんが、適切な治療やケアによって病気の進行をコントロールすることも可能です。
もしもあなたが30歳以上で、歯科医院から1年以上遠ざかっているという場合は、ぜひお早めに受診なさることをおすすめします。

当会には現在70の医療機関が所属しており、さまざまな活動を通して地域医療の充実に努めています。行政機関と連携した地域福祉活動では、乳幼児歯科健診や歯の衛生週間におけるフッ化物塗布などのイベント、区民祭りでの歯科相談会などのほか、学校や保育園の歯科健診も担当しています。
また各医療機関においては口腔がん検診や妊婦歯科健診などを行っているほか、通院が困難な方に向けた訪問歯科診療に対応するかかりつけ歯科医もいます。
訪問歯科診療は西区にお住まいの方はもちろん、隣接した地区の方々もご利用可能です。西区在宅歯科医療相談室では訪問歯科診療に関する相談を受け付け、対応可能な歯科医師をご紹介しておりますのでご相談ください。

区民の皆さまのお口の健康を守るためにさまざまな取り組み

このように当会の会員はかかりつけ歯科医として診療にあたる一方で、区民の皆さまのお口の健康を守るためにさまざまな取り組みを行っています。
また常に進化を続ける治療技術を学ぶため、勉強会を開催するなどして自己研鑽に励んでいます。このホームページでは歯科医師会の活動や区民の皆さまに向けたイベントなど発信するとともに、各会員（歯科医院）のホームページとリンクしています。
「かかりつけ歯科医がない」という場合は、ご自宅や勤務先のお近くなどで検索していただき、ご自分に合った歯科医院を見つけていただければと思います。

今後とも会員一同、区民の皆さまに寄り添った活動を行ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。